No.1  February 1999


Essays

COLLAGE


 エズラ・パウンドの長編詩『キャントウズ』(1917‐72年)は、コラージュの技法を用いた作品であるとされている。詩の技法の名称としてもコラージュという言葉が使われることは、美術の分野で発見されたコラージュという手法が、大きなインパクトを持ったものであったことを端的に示しているといってよいのだろう。

 コラージュの技法は、1912年にピカソとブラックが使い始めた。ブラックの手法は、絵具に加えて紙を効果的に使うpapier colleの範囲にとどまったが、ピカソはいろいろな素材を自由奔放に使い、コラージュの技法が持つ意味を発見していった。(1)

 たとえば新聞紙でワインのビンを形どると、それは「新聞」と「ワインのビン」という二つの独立したものへの連想を同時に促すことができる。また、それは「奇妙」という感覚を生じさせることもできる。コラージュのこのような効果は、絵画以外の芸術分野でも使うことができる普遍性を持っていた。

 しかし、絵画において発見されたコラージュの技法が、詩におけるコラージュの技法の発展とどのような関係を持ったのかは明確ではないようだ。詩におけるコラージュの技法の確立に寄与したのは、むしろ映画ではないかと考えられている。

 詩も映画と同様に時間軸というリニアな構造を基本に持っており、両者はカットと連で対応した構造を持っているといえる。パウンドは、1921年に、コクトーの詩集を都会的な知性のものだと評し、「都市では、いくつもの視覚的な印象が連続、重層、交差し、映画的である」と書いた(2)。このパウンドの評論は、コラージュの技法を使った代表的な詩であり、映画のようにイメージが連ねられているT・S・エリオットの『荒地』(1922年)に大きな影響を与えたのではないかとされている。(パウンドは、草稿に大きく筆を入れ、その仕上げを助けるという形で、『荒地』の創作にかかわった) 。

 映画は詩の技法に影響を与えたと考えられているが、映画自体がカットの対置などによって効果を生み出すコラージュ(モンタージュ)の技法を確立したのは、『戦艦ポチョムキン』(1925年)によってである。

 パウンドは、コラージュの技法をideogramic method(表意文字法)と呼んでいた。映画や絵画でのイメージの呈示方法からも影響を受けたに違いないが、彼は、この方法を、フェノロサが漢字について行った考察から発展させていった。

1) Golding, John : Cubism, Concepts of Modern Art, Thames and Hudson, 1994, p.62-3.
2) Stock, Noel : The Life of Ezra Pound, North Point Press, 1982, p.236.


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