スペインでは巡礼路をCAMINO(カミーノ)という。こんにちは、さようなら、という代わりに巡礼路ではブエノカミーノ、ボンカミーノと挨拶する。 2008年4月15日から6月5日までの52日間 私はカミーノを歩いた。世界中から歩きに来ている人達と出会いみんなとその言葉を交わしてきた。
途中バスやタクシーを使ってしまったけれども、フランス側の出発地、サン・ジャン・ピエ・ド・ポから歩き始めてサンティアゴまでの800kmを歩き通した人は15%程だという。一応これに入った! 全行程を完全に歩く人は3%程らしい。
出かける前に読んだこの道に関するパウロ・コレーリョやシャリー・マックレーンの本は刺激的だったし、フランス映画「サン・ジャックへの道」を見たときはその美しい道が私を呼んでいる、としか思えなかった。
9世紀に始まったというこの巡礼路は レコンキスタ(国土再征服運動)といわれているイスラム勢力へ対するキリスト教国連盟の戦いと連動して成立したらしい。
戦いのための道という忌まわしさにひっかかたものの、しかしそれから千年以上もの間歩かれてきている。
真珠貝は異物を核にして真珠層を巻いていくという。
きっかけは戦いかもしれないが、人々が歩き続けることにより、何かが変ってきているのではないだろうか。歩くということは人にとってはひどく単純な行為だ。1000年の間たくさんの人々が汗と血にまみれ様々な思いと祈りとでこの道を歩いたのだ。そして今そこには美しい真珠のような何かがあるようだ。
二十一世紀に入りここ数年で爆発的に増えたらしい”その道を歩く人々”。 道自体が 世界遺産にもなったとか。日本で手に入る情報はとても少ないまま、私も歩きたい、どうしても歩きたい、と熱い思いに駆られていた。 仕事も子供たちも何もかもが大丈夫だ、という体制が整ってくれたので、私はヨーロッパで昔の友人達と出会うプランも含め3ヶ月の休暇をとって出かけていった。