曇っていたが次第に良い天気になり、下り道だったので何とかサン・クシュリアンに着いた。サンティアゴまでは後60kmだ。このアルベルゲは評判が良かったので是非ここに、と決めていた。古い山小屋風で雰囲気はよい。おじさんがとてもいい。ミケランジェロという名だ。
暖炉の横に本が積んであってスペイン語ばかりの中に一冊小さなドイツ語の本があった。 ”Auf dem Jacobsweg”「ヤコブの道で」
読み始めてびっくりした。私がこの道で感じていたことが全部出ている?と云うくらい今の自分にぴったりとした言葉が並んでいる。まずは全部書き写すことにした。久しぶりに勉強をしているようだ。学生時代にこんなに熱心に本に引かれるなんてなかったよなー。
午後ずっと書いて、翻訳もして、夕食前に済んだ。だめもとで、ミケランジェロにこの本が欲しい、と言ったら快くプレゼントしてくれた。
ここはインテリアもいいけどクラシック音楽が流れているのがいい。テレビがないのがいい。食事は皆と一緒に頂く。質がよかった。高校生のグループと又一緒で、そのうちの一人が誕生日を迎え皆でお祝いをした。楽しかった。
62歳の私の誕生日に朝起きて同室だったオーストリア人の女の人につい教えてしまって、そしたら彼女が一人でハッピーバースデイを歌ってくれた、なんてのが頭をよぎり少々寂しくはあったけど、10代の若者はやはりこんな風に派手に行かなくちゃ、と結構素直な私の反応だった。
ゲルトルートとその夫は何度かであっている。カリンは初めてか?スペイン人の若いペアーも初めてだ。夕食後も和気藹々とおしゃべりで過ごした。この家の雰囲気があったかい。
ミケランジェロの犬達は私にひどくなついて猫のように身体を擦り付けてくる。足に絡まり遊んでくれと。大きいのが一匹に中くらいのと小さいのが二三匹。今まで出会った犬達もつながれてないのが多かった。皆大人しい。大きい犬が目立つ。パウロコレーリョの「星の巡礼」の中では犬が悪霊のごとく書かれているが、彼は犬嫌いなんだろうか。
20km以上歩いたか?すごい霧だ。森が、野原が霧の中に霞んでいる。霧に覆われたのは初めてのような気がする。私の前のすぐそこに ”空”があるような気がした。あゆうの空を見たような気がした。生きることへの絶望か?何かへの期待で空にとびこんだのか?
美しい川のほとりのいかにも公立という感じの立派な建物のアルベルゲにたどり着いた。
カリンと又食事を一緒にする。今までバスもタクシーも使ったことがないそうだ。すごい。2年前に40歳になるお嬢さんを癌で亡くされている。優しい方だ。靴が合わずに豆が痛い、と言うので、サンダルにしたら、といったら同じところがあたる、とかだったけど今日サンダルを試してみたら、快調とのこと。 なんとなく寒気がする、早めに寝る。