朝から本格的な雨だった。初めてだ。 廊下でエレーネに会えた。別れの挨拶をする。 新しいポンチョをかぶり覚悟を決め歩きだす。
17kmの間村が一つもない農道が続く。何もない。
雨なのでリュックが下ろせない、ベンチには屋根がないので座れない、
足の痛みが復活する。
あまりにつらくて泣きたくなる。祈りか、悲鳴か、ぼそぼそ声が出る。
「あゆうはてんごく…アユウハテンゴク…青遊は天国…」
青遊は天国にいけたのであろうか?
命を自分で絶つという愚かな行為をした娘を神は受け入れてくださったのであろうか?
私の唯一の願いは彼女の魂の平安。
天国にいて欲しい…
やっとたどり着いた村はみすぼらしい。雨がここで止む。 宿も今までで最低の部類に入る。ホスピタレーロが管理好きときた。 管理されることをひどく嫌う私。 食事に行った村のレストランも気に食わない。
環境が悪いと私は自己を閉じてしまう。精神的には詰まったまんま歩き出した。
むこうから歩いてくる人がいる。この感じは忘れ物だろう…そうだった。二人目だ、又来た。これは違うみたい…すごい、帰り道だって! 素敵な笑顔の女性だった。もうサンティアゴが射程距離に入ったのか。
昨日見かけた宿のパンフに惹かれ15km先のサン・ニコラウス・デル・リアル・カミーノにする。その一つ手前の村でちょうど12時になり教会の前を通った。ミサが始まるところだった。小さな教会で村人と一緒にミサに出た。体調が最悪で息苦しくなってきた。ホスティアをいただいたら涙が出てきた。甘えが出たのかも。心の奥の哀しみが刺激されたのかも。ミサの後外のベンチで少し休んで泣いた。
パンフに偽りはなく趣味の良い宿だった。若い奥さんが自然で感じが良い。旦那も悪くないけど強い酒をカウンターの影で時々飲む姿が気になった。洗濯機と乾燥機を使った (何処でも一回両方使うと十ユーロぐらい、宿代より高い) 頭の毛を洗って乾かなくて、寒気がしてきた。外の日向に出て乾かした。
同室のフランス人の五人の年寄りグループは外で自炊をしていた。オーストリーからの若い二人のお兄さん達と同じテーブルで夕食をとる。