アルト・デ・ぺルソンまではゆるい登り。またまたぬかるみ、すべる。バランスを取るため杖が必要だ。靴の裏をきれいに掃除すべきだったと後悔。風力発電の風車が並んでいる。広々とした景観に良く似合う。頂上には金属の巡礼者像が風の中ですっくと立っていた。
下に降りてウテルガという村でレストランに入り、スペイン初のトルティーヤを食べ、ホットミルクで温まる。友人のジリアンがうちのカフェで作ってくれたトルティーヤのほうがずっと美味しかったので、本場ものにがっかり。杖と巡礼者のシンボル帆立貝と絵葉書を買う。貝はサン・ジャン・ピエ・ド・ポで見かけたきりここに来るまで売ってる店がなかった。つまり欲しいものは見つけたらすぐ買うべし、と学んだ。ここで泊まろうと思ったが、時々会っていたドイツ人の夫婦がコーヒーを飲んでいて、次まで歩ける時間と距離だと言うので同意する。この人たちは良い案内書を持っていていつも私に情報をくれた。
次の街オバノスの宿の世話人、ホアンにボールペンを買いたいのだけれど店はないか、と聞いたら店らしきものはここにはないらしくて彼のを一本くれた。外のベンチに座った姿が町の景色になっているかのような人だ。
シャワーのお湯の出がすごく良くてうれしくて日本を出て初めて髪の毛を洗った。中庭に面した部屋もゆったりとしていてほっとする。靴の裏をブラシを借りて掃除をし、洗濯物を日向に干して満足。
明るさと石の街。人気はなく教会前の広場で子供たちがサッカーをしている。町の中心らしく広々として、芝生の美しい公園のようなものがある。「去年ここで一休みをしていたらあまりに心地よくてぐっすりと眠ってしまったの、目が覚めたら観光バスが傍にとまっていて人がたくさんいて恥ずかしかったわ」と話しかけてきたのはドイツ人のエリカ。私と同い年。後で一緒に食事に行った。「その後ひざを痛め医者にストップをかけられ帰らなければならなかったの、ドイツの医者も手術を勧めたけれど、手術をしたくない一心で他の方法を探した。いろいろ試し、結局もう一度歩くことにしたの」歩けば直ると信じている。今回は荷物を徹底的に少なくし、旦那も置いてきて軽やかに。今のところ痛みはないと。
南ドイツの田舎で静かに暮らしている。親になって自分の親と同じようなことを、子供に対してしていると気がついたとき、子供の自分がいやだったことはもうやめた、と話してくれた。息子さんも軌道修正しながら着実に進んでいるようだ。