朝食が7:30。カフェオレをたっぷりと頂く。出発は8時になってしまった。最後まで歩き通すことが出来るのだろうか、とかすかに不安があるので、慎重にゆっくりと登る。皆が追い越してゆく。中学、高校の時ワンダーフォーゲル部で山登りをしていた感じが体を通して思い出されてくる。天気は良く景色は360度見渡す限りなだらかなピレネーの山々。雪が少し残っている。冷たい強風が耳元でフランス語のようにヴォワー!と響く。帽子を飛ばされぬようにぎゅっと押さえる。身体も風にゆれゆれ飛ばされそう。
やっと下りが始まったら突然風のない森の中。フランスとスペインの国境をまたぐ。落ち葉が敷き詰められ じゅうたんの上のような路、雪解けが沢のように流れる路、木がたくさんあるのに明るい森の路。水溜りの青空を覗くと吸い込まれそう。しかしいくら歩いてもいつまでも終わらぬ。いつの間にか心地よさはなくなり、一足を出すのがつらくなっている。きつい、もう投げ出したいくらいにきつい、どうしたらいいの?一歩一歩行くしかない、進む意外に何の方法もない、私がこの道を選んだのだから、と分かる。
林の中に入り杖になりそうな枝を拾う。頼むよアミーゴ!
休憩を取って乾いたサンドイッチを食べ水を飲む。昨日のコーヒーについていた砂糖を取っておいたのをなめたら生き返ったようになった。食べ物、休憩ってこんなにすごいの!ロンセスヴァリスまで20km。8時間かかった。
大聖堂のようなでっかい建物、小学校の体育館を横に5つぐらい繋げたような、天井の高さが三階建て分ほどの大ホールの中に二段ベッドが二、三百並んでいる。夕べのいびきのおばあさんのベッドが又近かったので、急いで場所を変えてもらった。2m先と20mでは被害は違う。
くたくたの私をマリーが出迎えてくれた。一緒にレストランに食事に行く。リリーは手持ちのパンだけでいいらしい。私たちはまったく同じ「ラヴェンダーオイル」を持っていた。食後のコーヒーで遅くまで話し込んだ。家族の中の自死者について。人が生きる死ぬはどこでも同じだ。 仲良しになるのは共鳴する何かがあるから、と云うのも何処でも同じ。