成田を発つ。
ロンドンでヘレンとマークが迎えに来てくれた。 11年ぶりだ。ニコという二歳の男の子がいた。この子に会いたくてロンドンへちょっと寄り道。車は昔のモーリスではなくてジャガーだった。ロンドンの街外れの小さな前庭のある共同住宅。廊下の壁の色のグリーンで迷っていると。バスルームは使えるけど未完成。アジア系のインテリアで日本で買い集めたものも目立つ。キッチンの窓から見えるのは裏の学校。
明るい太陽とニコの泣き声で目が覚めた。居間の奥に据えられた暗赤色のベッドコーナー。彼らが仕事に行っている間、パソコンで『道』の情報を取り出して眺めた。写真と歩いた人々の感想とで一気に『道』が身近になってきた。
買い物もいくつかあるのでヘレンと中心街に出る。チョッキがいいのがあって助かった。重さが分散できる。リュックを軽くするために必要最小限度の物を持ったつもりだったが点検をしてみるとまだ省ける。スイスのウルスラのところにそれらを送った。最後は彼女のところで休暇をとる予定なので。靴はやはり望む物はなかったので履いてきたメレルでよしとする。マッサージボールもやっと手に入れたが、思っていた物とちょっと違う。
ロンドンの街の中の大きな木がうれしい。そこに生きている年寄りのよう。ジャガーの心地よさに沈み週末はチェスターフィールドのヘレンのご両親を訪ねた。高速道路に乗るともう緑の世界。身長の高い優しいご両親に暖かく迎えられゆったりと過ごさせて頂いた。メリースチュワートが幽閉された城を見に行った。
彼らの都合で出発日が決まった。 ヨーロッパに着いたら地面の上を行く事にしていたので汽車を使う。 彼らに助けてもらって予約をすます。寝台車、一等。
ロンドン駅での別れ際に涙が出てしまった。 巡礼途上での行き倒れもいいかもと思ったこともあり、これで永の別れかと! 背の高いヘレンとマークにしっかりハグしてもらって出発。
ロンドン、パリ間は最新の滑らかな海底特急。 片言のフランス語使いたくてうずうず。地下鉄を乗り換えオウステルリッツ駅よりの夜行列車。 出発までの3時間を駅のカフェで出発予定の電光板を気にしつつ行きかう人々を眺めていた。 服装にしろ漂わせている空気にしろ日本とほとんど変わりないと感じる。 初めてヨーロッパに来た40年前に感じた文化の差異がもうない。
巡礼に行くような夫婦が一組現れた。 やわらかい感じのフランスの男たち三人とのコンパートメントで出発。