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イルカは歌ってお魚を見つける
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い る か
谷川 俊太郎
いるかいるか いるかいないか
いないかいるか いないかいるか
いないいないいるか いるいるいるか
いつならいるか いっぱいいるか
よるならいるか ねているいるか
またきてみるか ゆめみているか★1
はじめに
地球が出来て46億年。地球上に生命が誕生して36億年がたっていると云われます。地球上の生物は36億年の歳月をかけて、環境に適応し、多様化し、様々な素晴らしい能力を備えてきた訳です。生物としてのヒトは脆弱な存在ですが、人間は万物の霊長と云われ、その生物たちの頂点、(食物連鎖の頂点)に立って、莫大な生物資源の恩恵を受けて生活している訳です。食料にしても、酸素にしても、またペットを愛でることや動物や植物を研究することで、得られる恩恵もあります。
そんな中で、ヒトと異なった能力を持つ生物にわたしは心を引かれます。ある生物がヒトとは異なった能力を発揮していることを知る時、傲慢になりやすい人間が少しは謙虚になれる様に感じるのです。謙虚になると、わたしたちの生活を支えている生命の源が見えてくる様な気がするのです。このページを作成するにあたっては、水産庁水産工学研究所 赤松友成著「イルカはなぜ鳴くのか」を参考にさせていただきました。
赤松先生のホームページアドレスは http://www.nrife.affrc.go.jp/akamatsu/homepage.html です。
○イルカのエコーロケーション
今回はイルカの能力について少し考えてみたいと思います。
イルカは、濁った水と云う、外界を視力でとらえるには不利な環境で暮らしています。食べ物であるお魚を見つけたり、ぶつかるとケガをする岩場などはエコーロケーションという能力で判別していると云うことです。つまり、超音波を発信し、対象物から反射音を聞いて、その対象物がお魚なのか岩場なのかを判別するのです。八景島シーパラダイスなどで遠目にしかあったことがないイルカちゃんですが、なかなか凄い能力を持っていますね。
エコーロケーションに関する数字
音速 発信 受信 水の中の音速 1500m/s イルカ =クリックス= 波長(識別できる大きさ) =ホイッスル= 15kHz〜160kHz(10cm〜1cm) 4kHz〜24kHz 10kHz〜150kHz (15cm〜1cm) 魚 〜1kHz (イルカの超音波は聞こえない) 空気中の音速 334m/s コウモリ 波長(識別できる大きさ) 12kHz〜200kHZ (3cm〜0.1cm) 1kHz〜100Khz (30cm〜0.2cm) 昆虫 調査中 調査中 調査中 人間 0.08kHz〜5kHz 0.02kHz〜20kHz 超音波診断機 *1 波長 分解能 1MHz〜10MHz(1.5mm〜0.15mm) 1MHz〜10MHz (4.6mm〜0.5mm)
海洋音響トモグラフィー *2 波長 200Hz ★2 (750cm) 200Hz ★2 *1,*3 http://www.bekkoame.or.jp/~je1wmv/USlink-j.html
*2 http://www.jamstec.go.jp/kansoku/tomogra1.html
ということで、ゴールデンウィークのある日、がーさんとたぬさんは工房かたわらの「ぶんぶく茶釜室」でお団子とお抹茶をいただきながら、イルカちゃんの能力に付いて話合ったのでした。もちろん、がーさんもたぬさんも、イルカの親戚はいませんし、イルカの専門家でもありませんので、出典が明記されている以外の内容はがーさんたぬさんの想像の域を越えません。明らかに間違っている点がありましたら、ご指摘いただければ、随時、訂正させていただきますので、ご一報下さい。よろしくお願い致します。
●イルカはどうやってお魚を識別するのでしょう。
たぬ:イルカも生き物である限り、生き延びるためには、食べ物の調達、異性の獲得と、危険の回避のために遺伝的プログラムは淘汰されてきたと思うの。今日は、イルカの生き残り戦略を一番わかり易い例として、食べ物の調達と云うことで考えてみ
がー:では、イルカはどうやって魚を見つけると思う?
たぬ:エコーロケーションで見つけるんでしょ?「ギュー」って鳴いて、反射してきた周波数でお魚の大きさが分かるじゃないの?
がー:つまり、上記の表にもあるようにイルカのエコーロケーションをするための鳴き声「クリックス」の周波数は15kHz〜160kHzなので、計算上では1cm〜10cmくらいのお魚が分る訳だね。
たぬ:でも、10cmしか分からないのはおかしい。イルカはもっと大きいお魚も食べるでしょう。
がー:大きい魚を見つけるために、周波数を下げる必要はないよ。別に周波数が低くなくても15kHz(10cm)が何回か戻ってきたらそれで例えば30cm位って分かるよ。レーダーみたいなんだから。等間隔のパルスの戻りというより、戻ってくるまでの時間と角度の問題かも知れないよ。
たぬ:レーダーかぁ。エコーロケーションで、そこに何かがあるってイルカには分かるわけだけれど、そこにいるのが、「ゴミ」ではなくて、「お魚」だっていうのは何故分かるんでしょ。
がー:やっぱり魚の外観かな、超音波だと、魚の厚みで正面と背面の反射に微妙な時間差が出来るから魚の構造からエコーロケーションで判断するんだと思うよ。超音波診断機みたいに骨なんかも分かると思うよ。
「ギュー!ギュー! こいつは骨太なたぬきだ!」とかね。(がーさんはたぬさんをエコーロケーションする真似をするのでした)
たぬ:赤松先生の「イルカはなぜ鳴くのか」に浮き袋や骨が良く反射して分かり易いと書いてあったから、外観と骨格と浮き袋の関係で、お魚の種類を特定しているのかもね。
がー:そうだね、他にも、表面の鱗の具合で超音波の反射の仕方は微妙に違うんだろうね。
「ギュー!ギュー! 旨そうなたぬち!」とかも分かるだろうね。
たぬ:きっと脂ののり具合も分かるのんじゃないかなぁ。「脂ののった美味しそうな鯖だ!」とかね。
がー:「ギュー!ギュー!脂ののり過ぎたたぬち!」たぬ:がー介うるさい!たぬはいいの!
たぬ:人間は超音波診断機を使って脂ののった肝臓が分かるけれど、脂が分かる周波数ってどれくらいなのかなぁ?超音波診断機の周波数はどのぐらい?
がー:インターネットで調べると*3、最近の医学では超音波診断には1MHz〜10MHzの周波数を使う用だけど・・・。
たぬ:超音波診断機で美味しいお魚が判別できるかな?イルカも1MHz出せれば美味しいかどうかわかるのかな?
がー:体内が水中と同じとして1MHzだと約4.5mmの病巣がわかるのかな?筋肉と脂肪の吸収率で内蔵の区別がついているとは思うけれど、脂肪を判断するのに1MHz以上いるかどうかは分からないねぇ。イルカはイルカで低い周波数で好みを分析する方法を会得しているかも知れないよ。
たぬ: 「イルカはなぜ鳴くのか」で金属の調理用ボールと植木鉢の判別実験のことが書いてあったけれど、金属のボールはどのくらいの周波数なら分かるの?
がー:金属だったら、どんな周波数でも反射してしまうよ。反射しちゃうから中は見えない。
たぬ:植木鉢は?
がー:表面がもがもがしているんじゃない?
たぬ:もがもが見えるの?がーってイルカみたいね。でも、別に高い周波数じゃなくてもわかるよね?
がー:たぶん。大きさじゃないから、表面の状態の違い(ツルツルともがもが)は分かると思うよ
たぬ:金属のボールやセラミックの植木鉢だと、イルカも(手を抜いて)一番出しやすい周波数でエコーロケーションしているのではないかしら?例えば自分の食べるお魚を選ぶ時は美味しいか不味いかを判断するために高い音も発信するけれど、植木鉢ならこの位でいいやってね。
がー:受信能力も、選択性があるから、ボールや鉢で人間が実験している時には一番わかりやすい周波数に集中して、反応しているのかも知れないね。
たぬ:鰯とか鯖とか鰈とか鰺とか秋刀魚とかを比較する実験をすると、イルカのもっと凄い能力がでてくるんじゃないかしら。
がー:でも、日本には、研究専用のイルカはいないそうだから、そう言う実験も大変だね。
たぬ:そうねぇ、水族館のイルカさんの食事の時に1頭づつ好物かそうでないか調べた魚をエコーロケーションさせるわけにもいかないからね。
●イルカのパターン認識
がー:ところで、この前までたぬの云っていた、イルカは音を色に展開するのではないかと云う話はどうなったの?
たぬ:「イルカはなぜ鳴くのか」に音の周波数は視覚で云う色だからと書いてあったの。業界では当然のことだったのよ。
がー:じゃあ、イルカは人間と同じように色つきの景色を見ているの?
たぬ:そうじゃないの、周波数は色の要素でも、エコーロケーションの周波数から判別のつく解像度が低いので、モザイク状にしか分からないらしいの。イルカがエコーロケーションで、「視覚の様な精度持った音響の2次現像の認知は難しい」と言うのがイルカのメーリングリストのいろいろな分野の専門家の意見だったんだって。
がー:人間は正面を向いた「犬」も横から見た「犬」も、「犬」は「犬」と識別出来るよね。
たぬ:つまり、イルカは正面を向いた「鯛」も横を向いた「鯛」も、「鯛」は「鯛」と識別出来るはずよね。
がー:エコーロケーションを2次元で捕らえるのは難しい様な気もするけれど、お魚はイルカに対してあらゆる角度で存在していて、かつ、イルカは瞬時に「あっ!魚!」と分かると思うよ。
たぬ:進化の結果から云えば、イルカなら瞬時に分かるはずよね、食べ物だから。魚と判断するのはパターン認識をしているのよね。
がー:パルスの返ってくる時間差の3次元のパターン認識ね。
たぬ:子どもの頃ノートの端に書いた絵のぱたぱたアニメーションの様に、モザイクが3次元で見えるのかもも知れないね。
がー:識別できないくらい速い時間差で音の反射が返って来た場合は、微妙にグラデーションがかかったモザイクだったりしてね。
たぬ:イルカって、どんな風に世の中を見ているのだろう?どういう仕組みになっているか分からないけれど、結構凄い能力よね。
●空中のエコーロケーション
たぬ:じゃぁ、イルカは空気中でもエコーロケーションをしないのでしょうか?空中じゃぁ、こうもりだってやっているんだからね。イルカにも是非、頑張って貰いたいな。
がー:空気中では、音速が遅いので、水中と同じ大きさの物を判別するには、5倍高い周波数を出さなければならないので、シンドイいんじゃない?(笑い)そんな高い周波数は出ないみたいだし。
たぬ:でも、人間に聞こえないから調べられていないだけで、本当はもっと高い周波数を出しているかもしれないよ。
がー:どうもたぬはイルカに高い周波数を期待している節があるね。
たぬ:うんでも、人間には聞こえないので、エコーロケーションをしているように見えないってこともあるかも知れない。
がー:まぁ、水中に適したイルカの目は空気中では近眼で、不自由なはずなのに、輪くぐりや、ボール拾いがうまいっていうことは言えるね。
たぬ:八景島シーパラダイスのイルカが輪くぐりの時、クリックスで鳴いていたか覚えていないけれど…。
がー:でも受信が大変そうだね、
たぬ: 「イルカはなぜ鳴くのか」によれば受信は下顎窓と云われる骨の薄い部分から音波を伝え易い脂肪層を通って中耳に伝えられると言うのが定説なんですって。
がー:発信はおでこのメロン体なんでしょ。水面に顔を出した状態では、空中に発した超音波は水中から顎には伝わらないね。
たぬ:それって、水中でも、無理がある気もするわ。メロン体で発信したらメロン体で受けた方が効率的だと思うけれどなぁ。
がー:まだまだ分からないことがいっぱいだね。イルカ好きの研究者の先生がどんどん研究して、また新しいことがどんどん分かると楽しいね。
たぬ:そうね。イルカって海の生き物の割に、犬や猫みたいに親しみを感じるものね。インターネットを検索するといろいろ、ドルフィンウォッチングが出来る場所もいろいろあるみたい。中には文字通りイルカと触れあえる場所があるみたいね。いつか、犬笛(高い周波数の笛)を持ってイルカに会いに行きたいね。
がー:これを機会に、イルカについてもっと調べて、イルカに会いに行こう。 (続く)
★★★ 5/24版のお詫びと訂正 ★★★
★1 5/24版の冒頭の「ことばあそび」はたぬさんの勝手な作でした。意識していなかったのですが、たぶん昔読んだ
谷川俊太郎さんの「いるか」が心のどこかにあって、かなり似た文章になってしまったのだと思います。
ここでは、素晴らしい谷川さんの「いるか」を引用させていただくことに致しました。
(ご指摘いただきました円谷さん、どうもありがとうございました)
★2 5/24版で海洋音響トモグラフィの周波数を2kHzと記載してしまいましたが正しくは200Hzまたは0.2kHzでした。
お詫びして訂正いたします。
(ご指摘いただきました中村さん、どうもありがとうございました)
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平成10年5月24日 ペ−ジ制作:たぬ