番外編 ガンとホスピス

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★告知を受けた時のこと

 家族の誰かがガンに罹った時、本人はもとより、その家族にとってもその事実は大きな衝撃となります。「いったい何故、自分や自分の家族がこんな目に合わなければならないのか!」割り切れない思いに苛まされます。

 私も4年前の夏、父がガンで、しかも末期のガンであることを知らされた時は大きな衝撃を受けました。私はその時、既に結婚していて、両親とも長いこと別に暮らして居たのですが、同居、別居に関係なく、家族がガンになったことは、大きな衝撃でした。

 最初のショックはどちらかと云うと漠然とした不条理感でした。そして、その不条理感に浸っている間もなくその後、次から次と具体的な問題がやってきました。例えば、何処の病院で手術するか、本人に告知をするかどうか、治療と住宅問題、経済的な問題、病院との関係、痛みの問題、介護の問題、等々。

 

 それは本当に辛い日々でした。

しかし、ガン患者であっても幸せに生きる権利はあると思うのです。

家族の誰かがガン患者であっても幸せとか楽しみを見つけていくことは出来るはずだと思うのです。幸せとか楽しみと言ってもそれはまるで、喉に棘の刺さった様な、痛みを伴った幸せや楽しみです。でも、命の期限を突きつけられているからこそ、幸せや楽しみをたくさん見つけていくことが大切ではないかと思うのです。

 

★受容への段階

 多くの死に行く人に直接インタビューして、その人たちの気持ちをまとめたキューブラー・ロス博士の名著「死ぬ瞬間」によると告知を受けてからその事実受容するまでにはいくつかの段階があると云うことです。

 

否認の段階

怒りの段階

取引の段階

受容の段階

 

結局、父は半分くらい、受容の段階まで行った様ですが、やはり完全に受容しきれていなかったので、意識のはっきりしている間は、精神的にかなり参ってしまっていた様でした。

また、本人だけでなく、家族も同じ様な段階を経て受容の段階へ達する様な気がします。

私自身のことを考えると、悩んでいる前に具体的に解決しなければならない問題がたくさんあったことと、常に励まし続けてくれた夫がかたわらに居たことが、どうやらこうやら、受容の段階に辿り着くために役立っていた様な気がします。

お伝えしたいのは、幸せ(それが棘の痛みのある幸せでも)を得ようとするならば本人も家族の側も、早く受容の段階に達することが重要ではないかと云うことなのです。

思い悩むことはいっぱいあるでしょう。でも、その前に積極的に何がやりたいのか、何が出来るのかを考えて、人生に取り組むと、問題はあっても、充実した悔いのない人生を送ることが出来るのではないでしょうか。

 

★受容への段階と医療関係者

 面白いことに医療関係者にもこの段階は存在すると思うのです。

 

衝撃の段階(患者に感情移入して避けてしまう段階)

感情移入の拒否(患者を人間というより対象として扱う段階)

受容の段階(患者を尊重しつつも客観的に判断が出来る段階)

 

 受容の段階に達していない医療関係者もいることをよく理解した上で医療機関を選ぶということです。つまり、望みのある内は精神的ケアが得られなくても(精神的なケアは家族がすれば良いのですから)高度な積極的医療をしてくれる医療機関。だめだと判断したら(この段階では、家族もケアを必要としているのですから)精神的ケアのきちんと受けられるホスピス等ガンに付いて受容が出来ている医療スタッフがいる医療機関を頼る方がと良いと思います。

 

★ホスピス

 正確な定義は専門のホームページをお読みいただくとして、私の考えるホスピスとは、治る見込みのない患者さんを受け入れ、患者さんの身体的、精神的苦痛を取り除き、穏やかで充実した日々を送ってもらうための医療を施す病院です。副作用の強い抗ガン剤や放射線治療は行わないで、痛みを押さえたり、患者さんがより快適な生活を送れる様にサポートしてくれます。更に、家族のケアも考えてくれます。

父が入ったホスピスは

瀬谷にある横浜甦生病院 TEL.045-302-5001

〒246 横浜市瀬谷区瀬谷4-30-15

 まず、電話するとケースワーカーがいろいろと相談にのってくれます。次に家族が見学に行って,本人が末期であることを受け入れているのかどうかとか,本人が何を望んでいるのかなど,病気+αの問診があり,父の場合は本人が受容した状態ではなかったのでお試し入院ということで入院することになりました。横浜甦生病院はガンセンターや市大病院より小さくて,建物も古いのですが,闘病生活で苦しみ悩み続けた父に取ってはこれまでになく温かいケアを受けられ,入院出来てほんとによかったと思います。

 

横浜甦生病院ホスピス病棟の小澤先生がホームページを開設していらっしゃいますのでご紹介します。

http://www.bekkoame.or.jp/~ta5111oz/index.html

 

他に私の知っているホスピスとしては、

足柄上郡にあるピースハウス TEL.0465-81-8900

〒251-01 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1000-1 

 こちらは義姉の父が入院しましたが、やはり行き届いたケアで,しかも環境の良いところと聞いています。問い合わせは、手紙または電話でと云うことでした。

 

 ホスピス入院費用について父の時の例を参考までにあげておきます。病院よって異なると思いますが、差額ベットと看護料,食事代,その他が必要になってきます。

 ●差額ベットは,個室で1日1万円〜1万5千円くらい。

(本人が隣の人の病状と自分を比較して気にしてしまう点,

 家族が一緒に泊まることが出来ることから個室が良いようです)

 ●看護料は1日一律6千円くらい。

 (通常の治療,点滴やモルヒネなどはすべてこの中に入ります)

 ●食事代は1日数百円

その他、オムツなどは実費です。

 

 ホスピス、ターミナルケア、ガンなどについての情報は、この頃はかなり数のホームページがあるので、ネット検索で収集されると良いかと思います。ガンは、病院から民間療法まで、何かと情報を必要とする病気だと思います。

 

闘病記について

 例えば、交通事故で明日死んでしまうとしても、告知を受けない死は、私たちから遠く離れたところにある様に思います。しかし一度、告知を受け、期限の砂時計を持った天使が周囲を跳び廻り始めると本人も家族もその砂時計に自分の時計を合わせなければならなくなります。今回、父のガンに伴走して、いろいろな体験をしました。辛いこともありました。釈然としないこともありました。でも、人の温かさに触れることもできました。この七月、父の三回忌も無事終わり、闘病記を書くことで、気持ちに整理をつけたいと書き始めることにしたのです。

 

★お礼

 最後になりましたが、父をお世話くださいました横浜甦生病院ホスピス病棟の小澤竹俊先生、現在は退職された青木さん、野田さん、吉岡さん、他のスタッフの皆さまに心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

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e-mail : mixseeds@seaple.icc.ne.jp         

平成9年8月3日  ペ−ジ制作:たぬ