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蒸発型陰極について
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ここでは、蒸発型陰極の特徴とTelefunken RE604,AD1,GEC P625,PX-4(最旧なす管),マツダ UX-111Bなど蒸発型陰極を持つ真空管についてを紹介します。蒸発型のフィラメントは酸化物型の陰極の一種ですが、その説明をする前にまず、陰極材料の発達についてお話しましょう。
1.電子を放出させるには
真空管では、カソードからの電子放出
(Electron Emission)が必要ですが、まずその方法を考えてみましょう。(フィールド)放出(1)金属を加熱する:熱電子放出
(2)物体に電子を衝突させる:二次電子放出
(3)物体に光を当てる:光電子放出
(4)物体に強い電界を加える:電界
(5)物体にイオンを衝突させる:γ作用
(6)物体に放射線、X線を当てる:
等の現象があり、その応用が考えられてきました。しかし、実際の受信、送信用の真空管のほとんどが(1)熱電子放出カソードです。その理由は、比較的簡単に、他方に比べれば効率も良いためと思われます。
2.陰極材料のいろいろ
では、次に本題の熱電子放出用の陰極材料とその特徴について個別に解説しましょう。
(1)タングステン陰極
タングステンは高融点金属であり、その融点は
3655Kと非常に高く、最初期の受信管や主に大型送信管やケノトロンなど高圧整流管に用いられてきました。その特徴は、金属の熱電子放出を原理としているので、高速度のイオン衝撃にも損傷が少なく、また、電極などからガスがでてきた場合に表面が酸化され活性を失いますが、生成した三酸化タングステンなどタングステンの酸化物は、蒸気圧が高く蒸発しやすいので、高温ではすぐに表面はきれいになるため、ガスに強いことです。これは、極初期の低真空の軟真空管や高圧を扱う送信管では大変有利なことでした。欠点としてはタングステンの仕事関数が4.54eVと高いため、熱電子放出の効率が低く(0.18%程度)、陰極加熱のための電力が大く、。また動作温度が2500Kと高いため、寿命が短くなりやすいことです。寿命はタングステンの蒸発スピードで決まり、大体、成形された陰極の直径の10%減少時を寿命終点としてることが多いようです。蒸発は動作温度が高くなると急激に進み、そのため寿命は陰極の直径に比例します。タングステン陰極の球の寿命は、蒸発によりフィラメントが細くなり切れることで決まります。初期の受信管では、フィラメント電流を色温度を基に調整し案外長い実動作寿命を得ていました。タングステンは材料としては、堅く脆くあまり加工性が良くなく、また融点が非常に高いため、溶融し型成形することはほとんど不可能です。(トリタン)(2)トリエーテッド・タングステン陰極
タングステンに1〜2%のトリア
(酸化トリウム、ThO2)入れた素材を線引きし、熱処理して使用する陰極で、初期受信管や主として中型送信管に用いられました。その特徴は、動作温度が1800〜2000Kとタングステン陰極の2500Kに比べだいぶ低いことで、そのため寿命も長く、陰極効率もやや高くなりました。英国では当時タングステン陰極の白熱状態に比べ、オレンジ色の発光で暗くなったため、Dull Emitta管(ダルエミッター管)と呼ばれました。この陰極は、活性な電子放出を得るために、段階的な熱処理が非常に重要です。まず真空中で短時間2800Kに加熱し内部のトリアを分解し金属トリウムに還元します(ThO2→Th+2O)。脱酸素にはタングステンが関与しています。次に2100Kで一定時間保持して内部のトリウム原子を拡散させ、表面に単原子層を形成させます。さらに電子放出を安定にし、寿命を長くするため、炭化操作を行います。ベンゼン、アセチレン等の炭化水素ガス中で約1600K程度に加熱し、表面酸化物を還元しさらに安定なタングステンカーバイド層(WC)を形成させます。これによりトリウムの蒸発が少なくなり、また陽イオンの衝撃にも強くなります。寿命は、トリウム原子の減少より表面の炭化物が長時間の使用で無くなることの方が決定的だ言われています。このように熱処理は微妙な温度や時間の管理が重要とされ、古くは職人技が必要とされ、高級真空管でした。トリウム原子はアルカリ土類と同じ程度に非常に活性で酸化されやすくまた、陽イオンの衝撃で蒸発しやすいため、タングステン陰極に比べ高いその動作には真空度を必要とし、ゲッター技術とともに発展・普及してきました。動作温度は非常に重要で、高ければトリウム原子の蒸発が促進され、低温では内部からのトリウム原子拡散が低く単原子層が減少するため、いずれにしても寿命が短くなります。可能な限り規定動作電圧を印加し変動は±5%以内に保つと良い様です。定電流動作は、フィラメントが蒸発により細くなるに(抵抗が高くなる)従い動作温度が高くなりトリウムの蒸発が促進され寿命が短くなります。変形にユナイテッドエレクトロニクス社のトリア塗布型陰極があり、1940-1950年代にUE-705WA等に用いられました。このフィラメントの開発者は、当時
GEの研究者だったラングミュアー博士です。これを始めに後に吸着現象の研究をさらに進め、LB膜(ラングミューアー・ブロジェット膜)を開発したことで有名です。また、トリアと言う不純物を含んでいるため、素材管理が悪いと粒界析出や金属多結晶の成長が起こり、脆くなり振動などで折れやすくなります。特に長時間使用した球は、冷却直後の振動に弱いので注意しましょう。
1950年代には、かなりの大型真空管にも、ジルコニウムゲッタなどの活用により高真空化が可能となり、この陰極が使用できるようになりました。主な目的は低加熱電力化でタングステン陰極の約1/3まで少なくできました。(3)酸化物陰極
やっとここまでたどり着いたのですが、歴史的にさらに細分する必要があると思います。
(a)結合型酸化物陰極
(b)塗布型酸化物陰極
(c)蒸発型酸化物陰極
(d)傍熱型酸化物陰極
以下、次回に続く。
1. STC-4021A



2. PX-4 (Marconi)


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平成10年4月12日 ペ−ジ制作:が−