朝松健「逸ちゃんウォーズ」シリーズ(既刊2冊)

伝奇ホラー小説家として名高い朝松氏による、スラップスティック・ノベル。
腹の底から笑いたい人向けの大衆娯楽小説です。
「うはwwwwwwこいつらバカスwwwww」という感想こそが相応しい内容になっています。
いや、VIP口調でなくてもいいのですが。

内容はB級ホラー/SF+エロス+笑い+薀蓄。
映画や銃火器等、コアな薀蓄が至る所に散りばめられている点は特筆に価する。
上記4点を踏まえることができるのは、同人誌やエロゲーが限界だと思われる(が、具体的にどのような作品があるのかは寡聞にして知らない)。
それほどに(一般人的見解からすれば)常軌を逸した作品を出版界に投入する情熱には頭が下がる。
しかも90年代初頭にですよ。

テーマの一つとして「擬音ってどうなの? 必要なの?」というのがあります(何作品だソレ)。
好きな作家なら許す、嫌いな作家なら叩く、という感じです。
この作品の銃弾命中音「ギガンッギガンッギガンッ」はかなり好きです。

三部作を想定している旨があとがきにありましたが、結局2巻まで出たあと、出版の勁文社は消滅しました。

第1巻「屍美女軍団」(勁文社ノベルス、1990)
突如として地球に浴びせられる“ゾンビ光線”と“エキサイト光線”。
そのとき夜であった地域では死者が甦り人を襲い、昼であった地域では生者が淫乱化した。
そして、夕暮れ時の日本はどうなったか。
マッド・サイエンティスト神楽坂汎(かぐらざか・ひろし)は日本全土をバリアーで覆った。
しかし結果として2つの光線は交じり合い、美女の死体だけが甦り男性を襲う“淫乱ゾンビ光線”になってしまった。
まったく悪びれない博士は部下の黒木松吉と鳥居竹吉のコンビにゾンビ狩りを命じる。
一方、葬儀社勤務の気弱な美青年・小仏逸美(こぼとけ・いつみ、26歳童貞)は、霊柩車で運搬中の大石義仁江(おおいし・ぎにえ、享年28)に強烈なアプローチをかけられ逃げ回る破目に……。
他方、行間では倍尾連巣(ばいおれんす)書房の編集部長&編集次長とオカルト・ホラーのジャンル作家による大衆小説談義が繰り広げられていた。
果たして、逸ちゃんの童貞は守られるのか?
淫乱ゾンビどもを銃火器で駆除する松っつぁん&竹やんのコンビの暴走の行方は?
というか、地球はどうなってしまうのか?
大衆小説には血と情念と復讐と陵辱だけあればいいのか?
小説に擬音は不必要なものなのか?

……という内容です。

……ほんとだよ?(何

人物について
◆小仏逸美
父親によって叔父の経営する葬儀屋に無理矢理就職させられた、元プータローの青年。
基本的に怖がり。
今回の事件で死体恐怖症・女性恐怖症・性交恐怖症を患ってしまう。
◆黒木松吉
長身痩躯のニヒルな青年。
竹吉とコンビでゾンビ・ハンターとして活躍する。
◆鳥居竹吉
コンビの松吉とは対照的に、低身長の肥満漢。陽気で女好きな性格。
松吉と竹吉は神楽坂博士とは腐れ縁の様子。
◆神楽坂汎
神楽坂超科学研究所を根城とする天才科学者。
36歳で風采の上がらない容貌をしているが、実は……?
今回の事件の全ての元凶。

目次
序章 死と官能の黄昏
第一章 淫狂の街
第二章 凌辱くずし
第三章 媚唇の渇き
第四章 果肉のたてこもり
第五章 東池袋 犯す
第六章 死霊のわななく雑司ヶ谷
第七章 ちょっとあぶない霊園地帯
あとがき風エピローグ

アドバイス
・リアリティを追求しない。
・肩の力をこれ以上ないほど抜く。
・ギャグが理解できなくても泣かない。

第2巻「宇宙からの性服者」(勁文社文庫、1992)
戦慄すべき『屍美女軍団』事件から一年、地球に新たな危機が……。
マッドサイエンティスト神楽坂汎が撃墜したUFOには、一人の宇宙人美女が乗っていた。
博士が彼女を拷問したところ、正体は『地球から三十億光年離れたワラント星雲にあるMMC太陽系の第六惑星、コスプレ星の知的生命体』であることが判明した。
そしてコスプレ星人の目的は、エネルギー源である高たんぱく質液と高カロリーの糖分であった。
しかも要求に応えられない場合、2時間で全面攻撃。
……今ここに、黒木松吉&鳥居竹吉のインベーダーゲームが始まる。
一方、今度は別の叔父の経営する甘味屋のウェイターをしている小仏逸美は、さっそく宇宙人美女に絡まれ窮地に陥っていた。
他方、テレビ局では特別番組が組まれ著名人によるコアな話が展開され、宇宙人対策本部では閣僚同士が論点のずれた論争をし、国会議事堂では議員達が脱出するヘリに乗る順番を争っていた。
更に他方、倍尾連巣書房の編集部長・亜倉潔癖とK文社文芸出版部編集長Sは「小説は文学かエンターテインメントか」という話題で血で血を洗う死闘を繰り広げていた。
果たして、逸ちゃんの童貞は(以下省略)
しょっぱなから重火器で街もろとも宇宙船を撃滅する松竹コンビの暴走は(略)
つーか、どうやってオチをつける気なのか?

……という内容です。

目次
第一章 宇宙からのマッサージ
第二章 空飛ぶ淫乱、地球を攻撃す
第三章 性本能と宇宙戦
第四章 思考が静止する日
第五章 恥丘防衛軍
第六章 UFOと不自由
第七章 燃える精虫軍団

アドバイス
前巻と同じです。
お気楽に読んでください。

出版社滅亡等の影響で未完です。
が、第1巻のゾンビ美女→第2巻の宇宙人美女に続いて、第3巻ではロボット(アンドロイド)美女が登場するのではないかと考えている次第です。

reviewed by平沼兵庫