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庭の秋 10月

 あんなに鳴いていたコウロギの声が急に少なくなり、

いつのまにか空気が乾き、気温の低い日が少しずつ増えてきました。

それでもまだ夜中に窓を開けるとアオマツムシの高い単調な声が

いつまでも続いています。

こんな夜に一気に育って、朝、人の目を驚かすのはキノコ。

・・・

 名前は?薄黄色の小さなキノコ、何十と集まっていることもある。

次の朝には透き通るような傘を広げ灰色に変身、

その次の朝には溶けて黒い紙状のものを残すだけ。

このはかなさのためか、その姿のためか、

キノコを見つけると思わず声をかけたくなる不思議さ。


この時はこの秋何回目かの発生で、リズムが狂ったのか、生まれてから
消えるまでが一度に見られる。キセルガイの仲間が2匹。

・・・

朝、澄んだ青空に白い羊雲、駅の改札を出ると歩道にケヤキの落ち

葉が散り敷いている、輝くような黄色のツワブキの花、

どれもみんな心に小さな喜びを運んでくれます。

庭の木も少しずつ葉を落とし、地面が明るくなって、

こんな花が咲いてくれました。

ゲンノショウコ、この辺では白い花が多いようですが、

この花はすてきな赤い花でした。

 地面に転がるコナラのドングリがいつのまにか増え、ブナの実が口
を開けて転がっています。中をのぞくとソバのみを大きくしたような種
が残っているものもあります。山ならネズミやリスが食べたり、冬じた
くに巣へ運んだりするのでしょうが庭ではいつまでも残っていて残念
です。


コナラ


ブナ

・・・

ホトトギス、鳥の名を持った花。蕾からは想像もできない複雑な花。

朝の驚きの一つです。

 秋は木の実・草の実の季節。庭ではネズミモチ、ヒメユズリハ、

カラタネオガタマ、ニシキギ、アズキナシ、センリョウ、マンリョウ、ヤブラン、

チジミザサ、ヒヨドリジョウゴなどが実をつけています。

 目立つもの目立たないもの、たくさんの実を付けたもの、

ほんのいくつか付けただけのもの、すぐ鳥が食べてしまうもの、春先まで残るもの

などなど本当に千差万別です。

 なかには、ゲンノショウコの実のように、弾けてからの

形がおもしろいものもあります。11月になったら今年も楽しめそうです。

・・・

光を跳ね返して精一杯のおしゃれをする、木の実を2つ。


 カマツカ



 コムラサキシキブ、葉にはオンブバッタにかじられた跡

・・・

 この庭は10月からツバキの季節。サザンカはないので、あの

にぎやかさとは無縁です。早い年は9月の末から、今年は10月上旬。

気が付くと濃い緑の葉の陰にピンクと言うより桃色と言った方がしっくりする、

濃淡に染め分けられたふっくらとした蕾が、

朝の弱い光の中で今年も季節が来ましたよと、ほほえんでいる。

 いつの年も「西王母」が口切り。

「秋一番」が追いかけるように次々と白い花を開いていく。

この季節の「西王母」は両手で何か大切なものを

やさしく包んでいるような、おずおずとした咲き方。

「秋一番」は冷たい空気を

深呼吸するようにぱっと開いてくれます。でもどこかしっとりした

感じをただよわせているのは、芯が筆先のように閉じているためのようです。

・・・

 「秋一番」この名は競い合っての名ではなく、

「秋の山」と一対の名と思っています。

花ごとに、赤いすじの斑が入る花を咲かせる椿を紅葉した

”秋の山”に見立て、

白く咲く花が多く、ときどき赤いすじの斑のある花を咲かせる椿を、

ようやく色付き始めた山に見立てて”秋一番”としたのだと。

 
西王母と秋一番
メジロが密を吸いに来て爪の跡を付けてしまうので、庭では撮れなかったので。