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奇跡を体験
14.広がる世界
リハビリテーション室に通って四日目、チルドでの立つ訓練の後、平行棒に捉まりセラピスト
さん二人掛りで支えてもらって、いきなり立つ訓練をする。
立つといっても、両手で必死に平行棒を掴んで腰と足を支え、上半身はお腹を前に突き出して
骨盤で支えるのだが、自分だけでは全身のバランスが取れず、二人に支えてもらわねばならない。
只それだけが、本当に必死の思いである。
リハビリの女の先生が旨くおだてて頑張らせてくれるのが嬉しいのだが、ものの10秒ぐらいで
目が回ってくる。
ベッドでも洗濯バサミや、ゴムひも、ゴムチューブ、握力増強グリップ、鉛筆、はさみ、胡桃、
小豆、風船等の小道具が増えて行く。
手術後6週間経過した4月7日、教会の司祭様がイースターのお祈りに来て戴き、順調な回復に驚き、
喜んで戴く。
娘が車椅子を押して、近くの公園を散策してくれ、桜の花見が出来た。
入院後の始めての外出で感無量。
そして、看護婦さんと、助手さんの介護で、6週間ぶりの入院後始めてのシャワー風呂に入れて戴く。
この日も、本当に大きな変化を戴いた一日であった。
最近は、毎日毎日、何か、目に見える回復があり、楽しくてたまらない。
4月9日、自分の力で始めて立ちあがり、10秒ほど維持出来る。始めて便器を使う事が出来た。
4月13日、立ちあがりを10回出来る、小豆を箸で摘む訓練を繰返す。
4月15日、平行棒を掴んでの歩行が3往復出来る、オムツを外し、パンツをつける。
毎日が自主トレーニングで忙しく、入院以来テレビは見なかったが、退院する方が大量に本を
回して戴き、読書の虫としては読まずにおれず、少し睡眠時間が減る。
本当に、毎日新しい世界が復活してきて、忘れてしまった赤ちゃん、幼稚園時代をやり直して
いるような気分である。
改めて、人間の神経と筋肉の総合的な仕組みの玄妙さに驚き、創造主を賛美する。
4月21日、手術後8週目で、装具の肩から背中の部分が外され、身体を捻ることが出来る様になり、
リハビリの幅が広がる。
今日からリハビリも自主トレーニングを許され、周りの人は20−30分で引き上げるが、
私は午後のリハビリ室が空いている時間一杯、汗みどろでマットの上と平行棒で格闘し続けた。
婦長さんやリハビリの女先生の驚きの眼差しを受け、少し得意な気分。
夜も、自分で何とか寝返りが出来る様になり、毎日の2時間毎の看護婦さんの介助が必要無く
なったことも嬉しい。
作業訓練の粘土細工、塗り絵、切り絵のセンスを誉められて喜ぶ。
本当に幼稚園生と同じ作業なのだから、出来て当たり前なのだが、やはり難しい。
皆煽てるのが旨く、煽てと分かっていても嬉しく、やる気が沸く。
4月27日、マット上で四つん這い、平行棒で後ろ歩きの練習。
4月30日、始めて車椅子でトイレに行き一人でお手洗いが出来る。 歩行器での歩行訓練開始。
5月7日、一人でベッドから車椅子に移り、看護婦さんもビックリ。
5月10日、晴れて、個室から大部屋へ移れる。 30分壁に向かって立つことが出来た。
5月19日、両手杖で始めての歩行訓練。
5月25日、手術後3ヶ月で、約束どおり、首のライフカラーが外れ、長かった装具が全て
身体から外れる。
痛かったり、痒かったり大変であったが、暑い盛りの前に外すことが出来てラッキー。
毎日、看護婦さん、妻、娘にせがんで介助して貰いながら、病院の廊下で両手杖での
歩行訓練をする。
この頃の自主トレーニングのメニューは朝6時起床、欲張りな長いお祈りをし、
1時間全身乾布摩擦、1時間ベッド上でストレッチと手足の自主トレーニング。
8時から食事、歯磨き、お手洗い。 1時間ほど読書。
10時から2時間、ベッドサイドでダンベル、ゴムチューブを使った自主トレーニングと、
立ちあがり訓練。
12時に食事、お手洗い。 1時から2時間リハビリテーション室で本格的なリハビリを受ける
(指導は30分弱で、1時間半は自主トレーニング)。
3時に着替え、おやつ、4時から30分廊下で歩行訓練、その後読書。 6時に夕食、その後読書。
7時から2時間、ベッドサイドでダンベル、ゴムチューブを使った自主トレーニングと、
立ちあがり訓練。
9時から1時間ベッド上でストレッチと手足の自主トレーニング。
10時に消灯で、欲張りな長いお祈りをして眠る。
一日、約10時間近く、兎に角どこかの筋肉を動かそうと努力している内に、あっという間に
日が過ぎていった。
それでも、この頃から、このままこの病院でリハビリを続けていて良いのだろうかと、思い悩む
ことが多くなった。
何しろ、周りの人は高齢者の方ばかりで、あまりリハビリに意欲を示していない人もおられ、
それにセラピストさんが相手をしてくれるのは15−30分程度で、後は自己流で頑張るだけなのだ。
それに段々と目に見える回復がなくなり、幾らやっても変わらないのに苛立ちながらのリハビリで、
精神的にも焦りが有った。
看護婦さんやお医者さんに相談し、県立か市立のリハビリテーション専門のセンターへの転院を
考えることにしたが、何処も混んでいて相当待たされそうとのこと・・・。
リハビリテーションでのプロの指導ってどのようなものなんだだろうか・・・? 
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